被災市町村史(誌)の展示開始2011/06/09 11:41

以前お知らせした瀬田ゼミの展示が武蔵大学図書館で始まりました。
展示期間は6月6日から3週間程度です。
日本に大きな変化が生まれつつあるこの年、
久々に古巣に足を運んでみませんか。

瀬田先生からのお便りです。

さて私たちの「日本環境文化史ゼミ」の「被災地市町村史(誌)展示」ですが、
まさに突貫作業で、とにかく6日(月)から開始しました。
大学図書館を入って右側のスペースをもらいました。
岩手、宮城、福島の3班がそれぞれ自分たちで考えたストーリーで展示しました。
全体として話し合うというより、
各班が個別に打ちだしてきたことでバラバラが目に付いたり、
内容的にも整理されていなかったりと、不十分さは一杯ありますが
何といっても、知らない者同士が集まってゼミを開始して
40日弱でこれだけのことをやったというのは
十分評価してあげていいのではないかと思います。

彼らなりにいくつも小さな工夫をしているところなんか、うれしいですよ。
私も知らなかったことが多々あって、
普段気にもかけずに通り過ごしていることに気付かせられましたね。

市町村史にしても、なんでここがこんなにも分不相応に
大金を使ったどでかいもの作っているんだと思ったりしました。
それに対して宮城の『志津川町史』(現南三陸町)なんか
「市町村史」とは思えないようなタイトルをつけて、
郷土に対する思いを表現しようとしているのもあって
そんなところがやられてしまったことに、改めて慄然としたものです。
『石巻の歴史』なんかあんまり充実しているので
つい「日本の古本屋」で探して個人的にもバラで買ってしまいました。

学生たちはこうやって一歩を踏み出したことで
「行ってみたいよね」とか「話きいてみたいね」と会話しています。
展示期間は3週間ほどもらいましたので、まあ時間があれば見てやってください。
これからどんなゼミになっていくのか
私にとって武蔵最後の年ですが、気合も入ってきたというところですね。

「森は海の恋人」植樹祭2011/06/06 11:05

木ゼミがお世話になった畠山重篤さんが推進してきた
「森は海の恋人」運動の植樹祭が、6月5日、
気仙沼湾に注ぐ大川の上流、岩手県一関市の矢越山麓で行われました。

東日本大震災の津波で大きな被害を受け、
畠山さんも「今年は無理だ」と思っていたそうで、開催が危ぶまれていました。
しかし、一関市室根地区の自治会が
「今年はお客さんでいいからぜひやろう」と声をかけ、
被災した漁師さんたちも参加しました。
会場には約1200人が訪れ、ブナやコナラなど40種、
約1000本の広葉樹が植えられました。
はるかに気仙沼湾を望む矢越山。
小さな苗木の一本一本に、豊かな海を取り戻す使命が託されました。

瀬田ゼミ2011、奮闘中です2011/05/23 10:19

被災地では古文書の保全ボランティアなどが活動していますが、
瀬田ゼミでは「被災地の市町村史(誌)」の展示を行います。
皆さんも久々に武蔵に足を運んでみませんか?
頑張っている学生たちにも、ぜひメッセージをお寄せ下さい。

【瀬田先生から】

今年のゼミ「東北被災地をふるさと研究」は、今15名の学生が
「被災地の市町村史(誌)展示」に向けて頑張っています。
3班(岩手・宮城・福島)に分かれて、何を、どこに、どのように展示するか
説明はどうするかなど、市町村史を手にとり、読んで懸命に話し合っています。
展示開始は6月6日(月)、場所は図書館を入ってすぐ右のコーナー。

ゼミを初めてやっと1月。
その間、毎回、ふだんのゼミよりはずっとハードな課題をぶつけています。
みんなでやる全体での授業は、延長なしのぴったり90分。
1分も無駄にはするなと檄を飛ばし、ボヤボヤしている暇はありません。
地名もわからず、そもそも地図の見方もわからない。
そんなところからのスタートですから、
ピントはずれがしばしばなのは仕方ありません。
それでもやっと具体的に被災地が考えられるようになってきました。

学生にとって何が大きいかって、日々のニュースに敏感になってきたことでしょう。
それまではどうしても聞き流していたことが
知った地名や産業の話が出てくるともっとわかろうと真剣になる。
少しずつですが、自分に近づいてきたということでしょうか。

それにしても私自身、こうした地方の歴史や文化について何も知りませんでした。
たくさんの「郷土史(誌)」が書かれていたのに、関心もなかったことにあきれています。
本をめくってみると、
それぞれの「郷土史」が如何に強い思いをもって先人の営みを書き残そうとしているか、
そんな当たり前のことが、改めて強く感じられるのです。
どこかから大金が出て潤沢な予算で市町村史が出来ているところもありますが、
逆にお金もなく、まとまった情報の収集伝達手段もないところを、
文字通り郷土に対する情熱のみで、
人々が協力し、短時間でまとめ上げたようなものもあります。
戦後すぐ、昭和24年に出た『本吉郡史』(宮城県)などがそうです。
気仙沼、南三陸などが入っています。
紙も悪く写真もぼやけた白黒ですが、気迫がちがいます。
立派な「文化人」「知識人」がこうした地方にも多くいたということが実感できます。
こうした先人の心に応える意味でも、ぜひ見事な復興を遂げていただきたいものです。

東京にいて今は何の力にもなれない私ですが
まずは郷土史、市町村史によりながら、その地を知り、人を知り
その地の復興に少しでも関わっていけるような道を
考えていきたいものとの思いを強くしています。

もう一つ報告。
今は気仙沼市に合併されている唐桑町の畠山重篤さんは
「森は海の恋人」運動で山に木を植えている牡蠣やホタテの養殖漁師さんですが、
12年前「木ゼミ」合宿ですごくお世話になりました
津波で住まいを除き仕事場などは完全にやられてしまい、
お母さんも亡くなられたのですが、
私たち旧木ゼミ生は一人一人手紙を書き、一緒にして送ることにしました。
ついでにとらやさんの羊羹も付けるというおまけで。
2カ月もたって遅きに失するのですが、
今でもみんなの心にはとても大きな思い出となっていることとて
気持ちを込めて手紙を書くという小さな小さな試みをした次第です。
畠山さんは、被災後断念した今年山に木を植える行事を、頑張ってやるそうです。
みんなの応援が届いて
少しでも畠山さんらの元気につながってくれればうれしいですね。

瀬田先生の新学期2011/04/30 04:18

東日本大震災の影響で大学の新学期は遅れていますが、
瀬田先生から近況のお知らせがありました。
学生さんたちのやる気がうかがえて頼もしいですね。
私たちも頑張りましょう。

【瀬田先生より】
今年は「日本環境文化史演習」というのを担当しています。
テーマは「ふるさと」。
なにも震災になって急遽決めたのではなく
去年から「ふるさと研究」を呼びかけて、
自分のふるさと、父母のふるさと、
祖父母のふるさとというテーマで、地方の見直しをはじめていました。

今年もその予定でシラバスで呼びかけたのですが、
1回目に来た学生は5名、少ないなあとちょっとがっかりしました。
5名には急遽「自分のふるさと研究」から、
「東北被災地のふるさと研究」に切り替えようと提案しました。
ニュースに頻繁に出てくる地名だけでなく、中身を知ろう
この何もない、あるいは静まり返った町や村ではなく、
元気で活気のあった町や村の姿と人を
自分のふるさとにみ立ててみようと呼びかけました。
5名は大いに共感してくれ、こちらもよし!という気になりました。

しかしもう少し人数が多い方がいいと考え、
講義で呼びかけ、人数を募りました。
そうしたら、昨日の2回目のゼミでは一挙に13人になりました。
わたしはこのゼミと、武蔵の図書館で
被災地の市町村史の開架展示をすることを結びつけることを提案しました。
この間、急いで市町村史を購入してもらったのですが、思い切ってこれとゼミを結びつけたわけです。
みんなやる気満々。
とにかくまず図書館にあるすべての岩手、宮城、福島の県史・市町村史を持ちだしてきて
3班に分かれてそれと地図との照らし合わせから始まりました。
みんな地名と場所が一致しません。それに古い地名がわかりません。
そうして図書館にあるもの、ないものの確認を済ませました。
教員・学生のゼミと図書館員の協力関係でゼミを運営していく、面白い試みではありませんか。
今後どうやって興味関心のもてる開架提示にしていくか、
作戦を練ろうということになりました。
学生に関心と責任を持たせて展示の方を任せるというわけです。
1カ月でやろうということになりました。
学生は今東北被災地のことで何かしたいと強く思っていることがわかります。
まずスタートはこうやってデスクワークの座学ですが
これが次のフィールドワークあるいはボランティア活動にどう結びついていくかは不明です。
しかし確実に一歩は始めることができました。
学生は決して無関心なんかではありません。
どうにかしたくてうずうずしている感があります。
わたしもどう展開していくのか、楽しみになってきました。

お地蔵さま2011/04/21 23:08

3.11から早くも6週間。
まだまだ余震が相次ぎ、落ち着かない日々が続きます。

チーム瀬田ゼミの一人が写真を送ってくれました。
何枚もありましたが、
特に心に残った一枚です。

壊れた車の脇に小さなお地蔵様。

車の関係者が置いたのでしょうか。
地元の人たちが置いたのでしょうか。

ここに確かに人々の暮らしがあったことが感じられます。

1人1人がいまできること。
その気持ちを持ち続けるための一助になるよう、
このブログを更新していきたいとと思います。

どうぞ、ときどきのぞいて見てください。